174.異文化理解力を高める(1)内なる国際化の進展

6月はグローバル化に対応するための「異文化理解力」について考えます。近年、日本国内でも、外国人との接点が急増しています。あらゆる仕事において、異文化を理解した上で業務を進めるスキルを高める必要があります。

今回は日本国内の国際化の進展を確認します。留学生は、過去10年で約2倍の33万人になりました。外国人労働者は同時期に2倍以上増え、230万人です。訪日外国人観光客はなんと4000万人を突破しました。いずれも、今後さらに増加の見込みです。

特に観光では、世界の観光魅力度調査で、日本が常に上位になっています。自然が豊かで、食事がおいしく、安全であるといった日本の良さが認められています。あなたは「日本はどういう国か」「日本人の特徴は何か」と聞かれたとき、どのように答えるでしょうか。

173.東南アジアに学ぶ(4)豊かで幸せな国ブルネイ

ブルネイは、石油や天然ガスを産出し、世界で最も豊かな国の一つと言われます。王様(スルタン)が統治する敬虔なイスラム国家です。一人当たりGDPは日本と同レベルの先進国で、所属税がほとんど無く、医療や教育も無料です。

イスラム国家の特徴として、国内でのアルコール販売はできません。また、一夫多妻制度も認められています。観光にも力を入れており、水上都市のボートツアーや熱帯林のエコツーリズムの人気があります。暑い国で経済的に豊かなので、みんながのんびりしていて、生活に余裕がありそうです。

172.東南アジアに学ぶ(3)マレーシアの経済と社会

マレーシアは東南アジアでは人口が多い国ではないため、戦略的に差別化を図っています。「ルック・イースト戦略」では、主に日本企業の労働倫理(勤勉さ、時間厳守)や組織文化(チームワーク、長期雇用、改善活動)を導入し、工業化に成功しました。

また、2010年に「アジアの教育ハブになる」戦略を打ち出し、インターナショナルスクールを大幅に増やし、日本を含む世界各国から留学生を呼び込んでいます。私の知人が経営するスクールの教育方針は、少人数クラスで個性を伸ばすという、現代のニーズに合致したものです。

 

171.東南アジアに学ぶ(2)マレーシアの多文化共生

マレーシアは、1963年に英国から独立してから急速に経済発展し、一人当たりGDPで12,000ドルという先進国レベルまで到達しました。英国統治下では、スズ鉱山と農業プランテーション(天然ゴム、油ヤシ)が主産業の発展途上国でした。

しかし独立後は、マハティール首相の「ルック・イースト(東アジアに学べ)戦略」でエレクトロニクスや自動車などの産業誘致に成功し、製造業が成長をけん引しました。また、マレー系70%、中華系23%、インド系7%という多民族・多宗教の国家が、うまく多文化共生することで、安定した社会を形成しています。

170.東南アジアに学ぶ(1)シンガポールの国家戦略

5月は「多文化社会のあり方」について、シンガポール、マレーシア、ブルネイから日本が学べそうなことをお話します。シンガポールは、建国の父といわれるリー・クワンユー首相の強いリーダーシップによる巧みな国家戦略で発展を遂げました。

リー首相は、多様性のある社会の秩序を維持するには、厳格な法治主義と実力主義が必要であると考えました。法治主義については、ルールを明確にして、違反したら罰金をとることで、規律を維持しています。例えば、道にゴミを捨てると8万円以下の罰金です。

また、実力主義により、汚職防止や女性活躍も実現しています。シンガポールでは働く女性が、フィリピン人の住み込みメイドを雇用することも一般的です。

169.GWに一人合宿をしよう(3)変幻自在のプロティアンキャリアとは

現代のキャリアは、組織によってではなく、個人によって形成されます。今回は、ダグラス・ホール先生が2002年に提唱し、日本では法政大学の田中研之輔教授が広めている「プロティアンキャリア」についてご紹介します。

これまでのキャリアは、組織が主体で、組織内でのコミットメントや昇進を中心に論じられてきました。プロティアンキャリアは、個人が主体で、個人の仕事への満足感や心理的成功がゴールです。組織から自立し、社会や自分の変化に合わせて、柔軟に変化し続けることが人生を豊かにするという考え方です。そのためには、ビジネス資本、社会関係資本、経済資本の3つについて、棚卸しをして、5年後、10年後に向けて、どうしていきたいかを考える必要があります。

168.GWに一人合宿をしよう(2)偶然のチャンスをとらえるには

キャリアは偶然の出会いによって、大きく変わります。皆さんもこれまでを振り返ると、先生、友人、先輩、上司などとの「良い出会い」が、自分を良い方向に導いてくれたことを思い出すかもしれません。今回は、偶然のチャンスを取り込み、キャリアをよいものにしていく心構えとワークについて、ご紹介します。

スタンフォード大学のJ・クランボルツ先生は、1999年に「計画的偶発性理論」を発表しました。現代のキャリアは、偶然をうまく取り込むことが大切で、そのためには、「好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心」の5つが必要です。

これまでの人生で印象に残る偶然の出来事を思い出し、その出来事の前後の自分の行動を思い出してみましょう。また今後、どんな人と出会いたいか、そのためにはどんな方法がありそうかを考えてみましょう。

167.GWに一人合宿をしよう(1)キャリアアンカーを考える

もうすぐGWを迎えます。この機会に、少しまとまった時間をとり、自分のキャリアを振り返り、将来のキャリアを考える「一人合宿」をお勧めします。自宅やカフェでもよいですが、できれば1泊2日くらいで海か山に行ってみるのもよいと思います。今回から3回に分けて、キャリアを考えるフレームワークをご紹介します。

自分のキャリアを振り返るには、多少の準備が必要です。例えば、過去の手帳、アルバム、もらった名刺、自分のSNSなどが参考になります。そして、過去のモチベーションの変化を「ライフラインチャート」でまとめてみることで、多くのヒントを得られます。また、自分の「キャリアアンカー」が年齢の変化によって重みが変わっていくこともあるかもしれません。

166.大学はどうなるべきか(2)Jリーグに学ぶには?

日本の大学は秋入学に移行する方がよいが、なかなか難しい現状があります。一方、サッカーJリーグは、長年の課題であった秋春制に移行するため、2026年は変則的な半年のリーグを開催しています。今回は、どうしてJリーグがこの変革を可能にしたのかを考えます。

サッカーの欧州リーグは、8月後半に始まり、6月に終わります。日本のJリーグは、2月から12月に開催されるため、選手や監督・コーチの移籍の難しさは以前から問題でした。しかし、サッカーは、「国際競争力を高めて、世界一を目指す」という目標を共有することで、多くの関係者の合意を得ることに成功しました。

大学の場合、関係者が非常に多いため、サッカーよりはるかに調整がたいへんですが、日本の科学技術力を高めるためには、何らかの制度変更が必要だと思います。

165.大学はどうなるべきか(1)なぜ4月に始まるのか?

日本の学校は4月に始まります。これは世界では珍しいシステムです。日本以外のほとんどの国では、小学校から大学まで、秋に始まるのが普通です。私は東京大学で、海外に行きたい日本人学生や、日本で就職したい留学生の就職支援をしています。今回は、4月始まりの学校制度の課題についてまとめてみます。

日本の大学は、世界におけるランキング(英国のTHE)で、100位以内に入っているのは、東大と京大の2校しかありません。中国は10校近く、韓国は4校、他にもシンガポール、インドなどのアジアの大学が100以内に多く入り、順位を上げています。大学ランキングは、その国の科学技術の人材育成レベルにつながります。4月入学の制度は、海外との人的交流や共同研究などに不利になっているのです。