184.交渉・調整力を高める(1)5つのパターンを知る

欧米では、意見や利害の対立を適切に解決する手法として、「コンフリクト・マネジメント」はビジネスパーソンの基本スキルです。これは社内の利害調整や、顧客やビジネスパートナーとの交渉に使える考え方です。また、家族や友人との意見調整にも有効です。

交渉・調整の解決策は、5つのパターンに分類されます。自分と相手がともに80点以上と感じる「協調(Win-Win)」を目指すのが最善です。しかし、すべての場面で協調による解決を行うのは現実的ではありません。

他の4つのパターンである、強制(Win-Lose)、服従(Lose-Win)、回避(Lose-Lose)、妥協(Lose-Lose)が適切なこともあります。今回は交渉の心構えと、この5つのパターンがそれぞれ適切・不適切な場合について考えます。

183.ピックルボールを知っていますか?

近年、「世界で最も成長しているスポーツ」と言われるピックルボールを紹介します。テニスと卓球を組み合わせたような競技で、小さなコートでパドルと呼ばれるラケットでプラスチックボールを打ち合います。初心者でもすぐにゲームを楽しめることが特徴です。

私は本年3月にマレーシアで実際にプレイする機会があり、7月に東京・立川で行われた国際大会を観戦しました。アメリカ発祥で、東南アジアでも急速に普及しています。日本のトッププレイヤーは、男子はソフトテニスのトップ選手だった船水雄太プロ、女子はテニスで伊達公子さんや杉山愛さんとペアだった藤原里華プロです。このスポーツの今後の展望について考えます。

182.新聞を読むメリット(2)新事業のタネを見つける

新聞には、新しい事業のヒントがたくさんあります。AIが発達すると、ヒトとしての発想力、課題発見力、企画力などがこれまで以上に大切になります。新聞を読むことで、これらの能力を高めることができます。

社会には「身近な困りごと」と「世の中の困りごと」があります。新聞を読むことで社会ニーズに気づき、事業アイデアを着想できます。アイデアを出すには生成AIの助けを借りてもよいですが、まず自分の頭で着想し、それを広げるために生成AIを使い、また自分で考えて絞り込み、さらによい提案にするためにAIの助けを借りるといったプロセスを経るとよいでしょう。

 

181.新聞を読むメリット(1)メディア・リテラシーを高める

最近、新聞発行部数が、ピーク時から激減しています。大手5紙では、電子版への移行がうまくいった日経新聞以外は、売上減少が加速しています。しかし、新聞はテレビやインターネット上の情報より、正確性、網羅性、俯瞰性、多様性に優れています。今回は、新聞を読むことでメディア・リテラシーを高めることのメリットを考えます。

メディア・リテラシーとは、メディアの記事やニュースに対し、「健全な懐疑心」を持つことです。この力が弱いと、誤情報・デマの拡散、SNSトラブル、詐欺被害、情報の偏りといったリスクが高まります。ネット情報に加え、複数の新聞を読むことで、この力を鍛えられます。

180.“手に職”の時代:ブルーカラー・ビリオネアとは

米国では、建設、設備工事、修理などの現場作業(ブルーカラー)で専門技能が高い人の収入が上がっています。事業をうまく拡大して、巨額の富を築く人も出てきているそうで、ブルーカラー・ビリオネア(億万長者)と言われます。

背景としては、現場仕事の深刻な人材不足、特に高度技能者の稀少化があります。日本でもホワイトカラー(事務職)の仕事はAIに代替され、2030年代には430万人の事務職が余り、技能職は大幅に不足するとの試算もあります。事務系ホワイトカラーになるよりも、手に職をつける方が、高収入が見込める時代になるのかもしれません。稼げる仕事領域としては、建設・設備、製造、物流、医療、植栽管理などが挙げられます。

179.多文化社会で働く(2)国際的な仕事をするには

日本で国際的な仕事をするには、5つの領域があります。1つめは、海外展開している日本企業の国際業務です。営業・マーケティング、輸出入、海外拠点の支援業務などがあります。海外売上比率が高い業界としては、自動車、エレクトロニクス、機械などのメーカーや商社などが挙げられます。

2つめは、外資系企業の日本法人です。外資系企業は日本国内向けの営業・マーケティングが中心なので、海外勤務の機会は、実は多くはありません。3つめは、留学生や外国人労働者を支援する仕事です。日本語教師、留学生支援、外国人向け人材サービス業などが挙げられます。

4つめは、公的機関です。大使館、国際公務員、国際的なNGOなどが代表的です。最後の5つめは、インバウンド観光客向けの仕事です。旅行・宿泊・観光施設・通訳ガイドなどが考えられます。

178. 多文化社会で働く(1)グローバルリーダーシップとは

6月に書籍『キャリア・アントラージュ 社会で役立つスポーツ選手の育て方』(田中研之輔、山岸慎司の共著)を刊行しました。本番組でもスポーツ選手のキャリア形成について、ときどき発信していますが、ご興味あれば手に取っていただければと思います。

さて今回は、前月の「異文化理解を高める」の続きで、「多文化社会で働くためのリーダーシップ」について考えます。グローバル社会でのリーダーシップとは、単に英語コミュニケーション力ではなく、「多様な人々をつなげる力」です。

さまざまなタイプのリーダーシップがあり、必ずしも「強いリーダー」である必要はありません。多文化間では、言葉に出して説明し、多様な価値観を調整して、チームとして結果を出すことがリーダーに求められます。

177.異文化理解力を高める(4)英語力と異文化適応のU字カーブ

異文化対応では、多くの場合、英語でのコミュニケーション力が必要です。英語力の指標としては、TOEICが広く使われています。例えば、大手企業が新卒大学生に期待するのはTOEIC600点です。これは足切り点なので、海外関連の仕事をしたい人は700点以上が必要です。若いうちに英語力を身につけられると、キャリアの選択肢を広げられます。

また、新しい文化環境に入った人の心理状態は、①ハネムーン期、②カルチャーショック期、③回復期、④安定期のように変化すると言われます。もし職場で、カルチャーショックを受けていそうな外国人がいたら、あなたはどのように対応するでしょうか。

176.異文化理解力を高める(3)異文化適応能力(CQ)とは

異文化に適応する能力をCultural Intelligence Quotient(社会的知能指数、CQ)と言います。メタ認知CQ、認知CQ、動機CQ、行動CQの4つの要素から構成されます。CQは、知識だけでなく、意欲や行動まで含む総合的な能力で、経験と振り返りによって高められる点が重要です。3つのケースワークを通じて、CQを理解していきます。

また、異なる文化による違いを、単に妥協して調整するのではなく、違いを活かして新しい価値を生み出すことを「異文化シナジー(相乗効果)」と言います。多様性に富んだチームは、同質的なチームよりも生産性が向上するという研究が多くあります。仕事においては、多様性を活かし、より良い成果を目指したいものです。

175.異文化理解力を高める(2)日本はハイコンテクスト文化

文化には、「見える文化」と「見えない文化」があります。氷山の海面上と海面下のイメージで、見えない部分の方が大きいものです。日本の例では、富士山、寿司、着物、アニメなどが見える文化です。社会マナー、本音と建前、接客の精神などが見えない文化です。相手の文化には見えない部分があることを理解し、見える部分だけで判断しないことが大切です。

また、日本やアジアの国は「ハイコンテクスト(高文脈)文化」と言われ、はっきりと言語化することが少なく、お互いの空気を読む文化です。その反対に、アメリカ、オーストラリアなどは「ローコンテクスト(低文脈)文化」と言われ、言葉で伝える文化です。多文化間では、明確に言語化する「ローコンテクスト」を心がける必要があります。