079.オリンピック選手のキャリア(1)女性アスリートの参加

パリ五輪が始まりました。五輪にはじめて女性が参加したのは1900年のパリ大会からで、当時は全体の2%でした。その後、女子選手比率は増加し続け、今回ついに50%になり、選手村に初めて託児所ができました。

私はスポーツ庁管轄のアスリートキャリア支援コーディネーターの認定を受けており、女性に限らず、スポーツ選手のキャリア形成に関心があります。特に近年では、現役アスリートの頃から次のキャリアの準備を並行して行う「デュアルキャリア」が推奨されています。

日本の女子選手も「田村で金、谷で金、ママでも金」で有名になった柔道の谷亮子選手をはじめとして、ママアスリートが増えています。今回は、女子バレーボールの岩崎こよみ選手、パラ陸上の土田和香子選手などの活躍に期待しています。

078.日本の雇用システムの変化(4)転勤に関する人事制度変更の事例

日経新聞が引用している調査によると、大学生が行きたくない会社の2位が「転勤が多い会社」で、10年前と比較して、急上昇しています。男女が働き続けることが当たり前の時代に、どちらかが転勤になると、多くの場合、女性がキャリアを分断されるからでしょう。日本では毎年2万人の女性が夫の転勤により失職していると言われます。実に大きな社会的損失です。

そのため、転勤制度を変更する企業が増えています。今回はいくつかの先進的な企業の事例を紹介します。まずAIG損保です。AIG損保は、2018年に原則として転勤制度を廃止し、家族がいる社員が安心して働き続けられるようにしました。採用の競争力も上がったそうです。

明治安田生命やみずほフィナンシャルグループは、転勤できる社員には手厚い手当で報いる制度を導入しました。パナソニックやソニーは、転勤しなくても昇進・昇格できる仕組みを導入しています。

077.日本の雇用システムの変化(3)転勤したくない社員の増加

マイナビの学生アンケートでは、全国転勤を受け入れる人が約30%、エリア限定で転勤も受け入れる人が約30%、転勤がある企業はできるだけ就職したくない人が約40%です。人手不足の時代、従来のままの雇用システムでは、若手人材の採用は難しくなります。

企業は、転勤により人材育成をするといいます。これは新卒入社の男性だけが長時間働いていた時代には、機能していたのかもしれません。しかし現在は違います。個人や家族にとって、転勤はデメリットの方が大きいことに多くの人が気づいています。

ヨーロッパでは、通常の家族生活を送る権利を保障した欧州人権条約があり、本人の承諾なしに転勤させることは人権侵害になります。大学生の就職支援をしていると、現状の転勤制度を維持しようとする日本企業は、採用競争で明らかに不利になると感じます。

076.日本の雇用システムの変化(2)なぜジョブ型に移行すべきなのか

私は、ジョブ型雇用の外資系会社に長く勤務しました。その経験から、日本企業もジョブ型に移行しないと国際競争力が維持できないと考えています。

まず、優秀な専門職の採用の視点です。AIやデータ分析などの高度な専門人材は世界中で取り合いです。日本人でも、最も優秀な層は、日本企業には行きません。配属ガチャを嫌うためです。また、若手社員の給与が年功序列で低く抑えられている企業は、人気がありません。

優秀な社員を中途で採用しようとしても、メンバーシップ型だと年金や退職金で損をすることになります。また、夫婦で働き続けたい若手は、勤務地を選べない企業(転勤がある企業)は、選択肢から除外します。いずれも、ジョブ型を導入すれば解決する問題です。

075.日本の雇用システムの変化(1)メンバーシップ型からジョブ型へ

マイナビの調査では、9割近い学生が「入社前に配属先を知りたい」と答えています。いわゆる「配属ガチャ」を嫌うためです。私の実感でも、希望する勤務地や職種に配属されなければ、内定を断り、別の会社をさがす学生が増えています。

日本では、配属先や職務内容を決めず、新卒学生を一括採用する「メンバーシップ型雇用」が一般的です。しかし、社会の成熟化、グローバル化の進展などにより、この日本の雇用システムの弊害が指摘されています。一方、日本以外の国では、職務内容が明確な「ジョブ型雇用」が一般的です。

ジョブ型雇用は、多様な専門性のある人材(中途入社、女性、外国人、シニアなど)が活躍するために適しています。今回はジョブ型雇用の特徴とメリット、デメリットについてお話します。

074.アンガーマネジメント:怒りをコントロールしよう!

アンガーマネジメントとは、「怒りの感情と上手につきあい、怒りをコントロールする技術」です。ストレスの多い現代では、自分の心を制御するのは大切なことです。皆さんも試してみてください。

方法としては、衝動のコントロール、思考のコントロール、行動のコントロールの3つがあります。まず衝動のコントロールでは、「イライラしたら6秒待つ」というテクニックが有効です。怒りのピークは6秒で、それを過ぎると理性的になれるそうです。

2つめの思考のコントロールでは、「まあ許せるゾーンを広げていく」テクニックが知られています。3つめの行動のコントロールでは、自分が変えられないことは気にせず、「自分でできることに注力する」テクニックを身につけられるとよいでしょう。

073.就活のコンプライアンス:裏アカにも注意!

最近、企業のリスク管理の一環で、従業員やアルバイト学生のネット上の情報調査が一般的になっています。ある人の名前などの基本情報からニックネームを推定し、サブアカウントや裏アカウントを調査する専門会社も現れています。すでに社会人の方も要注意です。

学生には就活前に、インスタグラム、X(Twitter)、ブログなどのSNSの投稿に注意するように促しています。SNSへの誹謗中傷など品の無い書き込みや、怪しいアルバイトの疑いがあると、企業は採用をためらいます。

実際、私が担当した学生も、どうやらネット上に金銭トラブルの形跡が残っていたようで、内定が取り消された事例がありました。SNSの情報開示については、将来、法律が変わる可能性もあります。「若気の至り」が、あとで問題にならないよう、気をつけましょう。

 

072.イマドキの就活成功事例(2)個性を活かした学生たち

現在はナビサイト上でエントリーするため、多くの企業に応募できます。そのため、学生が知っている消費財(B2C)企業は、100倍前後の高倍率になります。一方、法人向け事業(B2B)の企業は数倍程度の倍率が多いのです。よく業界・企業研究をして、他の学生と違う選択をすると、良い出会いにつながりやすいかもしれません。

今回は、自分が「好きなこと・やりたいこと」を起点に就活を始め、納得いく選択をした5人の事例をご紹介します。アパレルから不動産に関心が移った男子学生、車が好きで複数の自動車販売会社に内定した男子学生、Uターン志望で医療系商社に決めた女子学生、人気のリゾートホテルに内定した男子学生、人事部に将来的に行かれそうな企業に決めた女子学生の5人です。

071. イマドキの就活成功事例(1)激戦を勝ち抜いた学生たち

25年春卒業予定の大学生の就職活動は、そろそろ終盤戦。少子化が進み、企業の採用意欲も高く、就職率は97%以上です。学生は平均2.5社の内定をもらいます。でも、人気企業はいつの時代も激戦です。今回は、人気企業に内定をもらった4人の事例をご紹介します。

1人目は、テレビ番組制作会社に入った女子です。エントリーシートでは「最も感動した映像作品」について聞かれました。彼女は、社会性の高い作品について、深く考察できることが評価されたようです。

他には、海外赴任できそうな優良企業を探した男子学生、大手人材サービス会社など4社の内定をもらった女子学生、ダメ元で受けた市役所に決めた女子学生の事例をご紹介します。

070.5月病を防止しよう(2)質の良い睡眠確保のポイント

ストレスに対処するには、自分で心や体のサインに気がつくことが必要です。イライラする、気分が沈む、ひどく緊張する、なかなか寝付けない、頭が痛いなど、人により、ストレスのサインはさまざまです。

メンタルヘルスの基本は、「ぐっすり眠ること」と言われます。適度な睡眠とは、最低5時間です。最近、ストレス対処法としての睡眠が改めて注目されています。

本日は、厚生労働省が「質の良い睡眠を確保するための指針」として公表している、10のポイントをご紹介します。最近の医学的知見が盛り込まれていて、興味深い内容です。皆さんが知らないこともあるかもしれません。