155.イクボス研修(2)組織力の向上

働き方改革やワークライフバランスを進めると組織の成果が下がるのではないか、と心配する声がよくあります。しかし、イクボスが次のようなマネジメントをできれば、むしろ成果は向上します。ポイントは、部下の仕事力向上、チームワークの向上、コミュニケーションの活性化の3つです。

部下にはできるだけ裁量権を与え、任せることで、仕事への責任感を高めます。上司はプレイよりマネージに時間を使えるようになる好循環になります。また、誰もが働く上での制約があるという前提で、属人化を回避し、効率化を図ることで「助け合うチーム」になります。

チーム内に心理的安全性が確保され、コミュニケーションが増えると、お互いに要望を伝えやすくなり、「お互い様精神」が発揮しやすくなります。

154.イクボス研修(1)イクボスとは何か

私が所属するNPOファザーリングジャパンでは、10年以上前から、「イクボス」を提唱しています。イクボスとは、①部下の私生活と仕事をともに応援する、②自らもワーク(仕事)・ライフ(私生活)・ソーシャル(社会活動)を楽しむ、③組織の目標達成に強い責任感をもつ、という管理職です。

一般的なワークライフバランスや働き方改革の議論では、②と③の視点が抜け落ちていることが多くあります。①は当然として、②では、上司自身も、自分や家族を大切にして、自己研鑽・ボランティア・社会活動などでイキイキと人生を楽しむ姿勢が大切です。

また③では、仕事への厳しさと優しさを兼ね備えた上司として、目標達成に強くこだわる組織にしていく責任感をもつことが重要です。ワークライフバランスは、単にヌルくて緩いものではないのです。

153.2026年に就職・転職におススメの業界

2026年に就職・転職を考えている方におススメの業界を紹介します。ChatGPTに相談して、募集ポジションが多い業界を選んでいます。

おススメ業界は、ソフトウェア・IT・デジタル化推進、人材育成・リスキリング・教育DX、医療・ヘルスケア(非医療職)、観光・マーケティング、サステイナビリティ・脱炭素の5つです。これらの業界は成長しているので募集が多く、入社時に専門性がなくても入りやすいという共通点があります。

どの仕事でも、入門レベルでよいので、ITリテラシー、AIリテラシー、データ理解力、プロジェクトマネジメント力、英語力が身についていると、その後のキャリアにつながりやすいでしょう。

152. 2025年のキャリア10大トピックス(2)働き方改革の進展、就活早期化など

今年の10大トピックスの後半です。今回は、働き方改革のさらなる進展、新卒大学生の就活早期化、スカウト型・逆求人型人材サービスの普及、地方移住・多拠点キャリアの増加、女性首相誕生による女性活躍の加速への期待、の5点です。

2019年から始まった働き方改革の「時間外労働規制」は、医師、運送業、建設業では5年遅れて法的適用が開始され、今年ようやく、それぞれの業界で運用方法が決まってきました。他に、最後のブラック職場として、教員と上級国家公務員も話題になっています。

新卒大学生の就職については、3年生の秋までに内定をもらう学生が過去最高水準になりました。早期選考が当たり前になり、究極の売手市場といえるでしょう。

151.2025年のキャリア10大トピックス(1)生成AI、リスキリングなど

2025年もあと2回を残すだけとなりました。恒例の10大トピックスの前半です。今回は、生成AIの活用、リスキリングの本格拡大、副業・兼業の一般化、30~50代の転職急増、ジョブ型雇用の拡大の5点です。

生成AIは日常業務の中で、誰にでも使えるものになってきました。ホワイトカラーの仕事の進め方を大きく変化させています。大学生のレポートも、見た目は上手になってきました。AIを活用できる人材しか生き残れない時代の入り口にいる印象です。

リスキリングについては、経済産業省が社会人リカレント学習人口を400万人規模にする方針を発表しました。私が所属する社会人研修会社へのお声がけも増えています。

150.高校生と親のための進路選択(2)英語力と異文化受容力

もし文系に進む場合は、英語力が無いと、面白い仕事はできないかもしれません。日本では人口減少により国内市場が縮小していくため、世界で戦える企業しか成長できないからです。例外は、IT系、医療系、観光業くらいでしょうか。

高校生には、まず大学受験の単語と文法は大事だよ、と話します。単語の暗記は退屈ですが、これを避けると英語ができるようにはならないからです。大学生になったら、TOEICを受けましょう。まずは多くの大手企業の足切り点と言われる600点が目標です。

英語と合わせて、異文化受容力も大切です。人種、宗教、嗜好など異なる価値観の人を受け入れて、仲間として協力し合える力です。そのためには、高校生の頃から、できるだけ多くの友達と関わる気持ちを持ちましょう。

149.高校生と親のための進路選択(1)理系?文系?

高校1年生の正月明けに、文系か理系かの進路選択をする学校が多いと思います。私は高校生向けのキャリア授業を行うNPO「16歳の仕事塾」に所属し、年数回、社会人講師として授業をしています。今回は、その授業からの抜粋です。

私の意見は、「迷ったら理系」です。これからの時代は、論理的思考など理系的な素養が必要です。特にSTEM(科学、技術、工学、数学)人材は圧倒的に不足しています。一方、文系ホワイトカラーの仕事は、一部の例外を除き、大幅に減っていきます。私自身もそうですが、理系から文系に変わるのは容易ですが、逆は難しいです。

大学より、専門学校や高専で、技術やスキルを身につける方が、職業的ニーズはあるかもしれません。看護・医療系、電気工事技師や配管工などの職人系は将来性が高いです。米国では、「ブルーカラー・ビリオネア」(高額所得職人)という言葉もできています。

148.ミドル・シニアのキャリアデザイン(4) 転機に対処するには

弊著『40歳からの実践的キャリアデザイン』からの抜粋の4回目です。今回は、中高年が転機に対処するための方法論をお伝えします。著名なキャリア研究者であるナンシー・シュロスバーグは、「人生は転機の連続」ととらえ、転機を乗り越えるための4つのSを提唱しました。

4Sとは、状況(Situation)、自己(Self)、支援(Support)、戦略(Strategies)です。転機に際しては、まず状況を客観的に把握し、自己の強み・価値観などを理解し、家族や友人の支援を受けることで心理的安定を保ち、転機に対処する戦略を練る、という意味です。この4Sは、ミドル・シニアのキャリア再設計にはとても有効です。

147.ミドル・シニアのキャリアデザイン(3) キャリア再構築の心構え

今回は、中高年のキャリアを再構築するための精神的基盤(メンタルファウンデーション)とモチベーションについてお話します。まず、健康、家族、経済の3Kが大切です。次に、自己効力感を高める必要があります。

自己効力感とは、「自分はできる」という信念で、挑戦意欲、行動力の源泉です。中高年になると、役職喪失、技術変化、健康不安などにより自己効力感が低下しやすいため、意識的な維持が重要です。また、ブルームの期待理論に基づき、外的報酬よりも自分の内的報酬を確認することが、この時期のキャリアデザインでは核になります。

146.ミドル・シニアのキャリアデザイン(2) エンプロイアビリティを高めるには

雇用される力をエンプロイアビリティと呼びます。中高年になり、若い頃に獲得したスキルが陳腐化すると、エンプロイアビリティが低下していきます。時代にあったスキルを意識的に身につけないと、「社外でも通用する力=市場価値」は維持できません。

そのためにはまず、キャリアアンカー(キャリアの軸)を再設計し、組織に依存するのではない人生観、すなわち「キャリア自律」の基盤をつくる必要があります。また、専門性の再定義、リスキリング(学び直し)、社外ネットワークの構築、パラレルキャリア(副業、地域活動など)の実践、学び続ける姿勢、の5点が大切です。