112.NPOキッズドア・渡辺由美子理事長が語る 子どもの貧困問題とは(1)

今回は、NPOキッズドアの渡辺由美子理事長をお迎えします。渡辺さんは2007年、日本の子どもの貧困問題に取り組むため、キッズドアを設立しました。山岸もこの活動に賛同し、数年前から応援しています。

渡辺さんは家族で滞在した英国と比べ、日本の小学校はランドセル、文房具、体操服などを買いそろえる必要があり、お金がかかることを痛感しました。一方、母子家庭などでは、経済的に余裕がなく、教育格差が少しずつ問題になり始めていました。

キッズドアは、学習支援や体験活動、キャリア教育を通して、貧困の連鎖を断ち切り、すべての子どもたちが将来に夢や希望を持てる社会の実現を目指しています。

詳細や問い合わせは、下記ホームページをご覧ください。
https://kidsdoor.net/

111.就活本番(2)グループディスカッションのポイント

大学生の就活が、3月から本番を迎えています。今回は、多くの学生が苦手意識をもっているグループディスカッション(GD)について、大切なポイントをお話します。

GDは5-6人の学生から2-3人を選ぶプロセスです。自分の意見をわかりやすく話すとともに、他の人の意見にも耳を傾ける姿勢が必要です。集団の中での立ち居振る舞いを見ることが主目的なので、議論に勝つ必要はありません。

準備として大切なのは、その企業で過去に出たテーマについて、自分の意見を考えておくことです。GDの選考では、グループメンバーや面接担当者の運・不運もあります。ご縁がなくても、あまり気にしすぎず、その会社は相性が悪かっただけと割り切って、別の会社に向けて、気持ちを切り替えましょう。

110.就活本番(1)オンライン面接のコツ

新卒大学生の就職活動が、3月から本番を迎えます。今は8割以上の企業がオンラインで面接を行います。今回は、慣れないと思わぬ失敗をしがちな、オンライン面接のコツについてお話します。

オンラインでは、非言語情報が少ないため、「伝えにくく、受け取りにくい」ことを意識する必要があります。リアル以上に、「挨拶と笑顔」の第一印象が大事です。うなずきやOKサインなどのリアクションを大きめにしたり、はっきりと発語したりするような基本も、緊張すると忘れがちです。

また、自宅で1人のモードから面接モードに切り替えるには、気分が上がる音楽を聴いたり、発声練習をしたりして、テンションを高めにしてのぞむと良いでしょう。カンニングペーパーをできるだけ見ないで、カメラを見て話す練習も効果的です。

109.就活生の保護者へのアドバイス(2)良い就活支援とは

保護者が、どのように就活支援をするのがよいか、8つのポイントを説明します。まず、「今の時代の就活について、基本的なことを理解する」です。今は応募が簡単なため、多くの企業にご縁がないのが普通です。50社応募して、2社から内定をもらう感じです。48社からお祈りメールが来ることになり、落ち込むことも多いので、前向きに励ましてあげてください。

また、保護者が自分のキャリアを振り返り、仕事のやりがいや苦労したことを話してあげると、良いロールモデルになります。また、子どもが興味ある業界で働く知人・友人がいれば、紹介してあげるとリアルな話を聴けます。就活中はアルバイトの頻度も減るので、「経済的支援」も必要かもしれません。

108.就活生の保護者へのアドバイス(1)NGワード集

大学生の就活が、3月に正式に解禁になります。今回は、大学生の保護者が、ピントはずれのアドバイスをしないように、気をつけるべきことをお伝えします。大学によっては、保護者向けに「就活支援のための冊子」を配布したり、就職説明会を開催したりしています。

典型的なNGワードは、「安定した大企業か、公務員にしなさい」、「そんな会社知らないよ。もっと有名なところがあるだろう」、「営業はノルマがたいへんだぞ」、「女の子なのだから、無理しなくていいんじゃないの?」、「事務職がラクでいいよ」といった言葉です。

また、「説明会に一緒に行ってあげようか?」とか「アルバイトしながら、また来年就活すればいいよ」などの過保護も困りものです。

107.Z世代の育成(2)青山学院大駅伝部はなぜ強いのか

今年の箱根駅伝は、青山学院大学が2年連続優勝を果たしました。青山学院大は、過去11年のうち、8回優勝の快挙です。選手が毎年入れ替わる大学スポーツにおいて、これだけの強さを維持しているのは、原晋監督の指導力と仕組みづくりの賜物でしょう。

青学駅伝部の強さの秘密は、「チームの基礎作りとしての科学的アプローチ」「青学のカラーに合った高校生のリクルート」「半歩前の目標を管理」「自主性と考える力の育成」「メディア露出とモチベーション管理」「人間力の向上」などにあります。

これらのポイントは、企業の若手育成のヒントにもなります。今の若者は、根拠ある理屈で説明すれば納得し、やるべきことをやります。先輩社員は、指導力、特に言語化スキルをみがく必要があります。

106.Z世代の育成(1)帝京大学ラグビー部はなぜ強いのか

今年1月の大学ラグビー選手権は、帝京大学が4連覇を飾りました。帝京大学は、2009年度から2017年度まで9連覇を果たし、今回の4連覇と合わせて、過去16年で13回優勝です。選手が毎年入れ替わる大学スポーツにおいて、まさに快挙です。

帝京ラグビー部の強さの秘密は、岩出雅之前監督がつくった組織文化にあります。これはZ世代と言われる若者の育成に悩む企業の方々にも大いに参考になります。

ポイントは、「脱体育会系」(上級生ほど雑用を行う)、「自立型学習組織」、「人間的成長を促す」、「自己効力感を上げる」、「ラグビーと人生の2つのゴールをもつ」の5点です。ビジネスでも、科学的アプローチ、上司・先輩からのサポート、若手への権限移譲など、活用できる視点が多くあります。

105.近未来の仕事を考える本(3)『未来をつくるキャリアの授業』

今回は、転職エージェントの渡辺秀和さんの著書『未来をつくるキャリアの授業~最短距離で希望の人生を手に入れる!』(2017年、日経ビジネス人文庫)をご紹介します。本書は、東京大学のキャリアデザインの授業で使われ、年功序列では物足りないと考える、いわゆる「意識高い系」の若者に多く読まれています。

まず、キャリア設計の基本的な考え方として、年功序列の大企業よりも、若い時期にコンサル・ネット系・外資系・ベンチャー系などに就転職して、市場価値のあるスキルを身につける方が早道です。若いうちにキャリアの上昇気流に乗ることで、人生トータルの収入や自由度は大きく上がる、とアドバイスしています。

転職によるキャリアアップを安易に促しすぎている傾向はありますが、私の経験からも同意できる部分が多い本です。今どきの若者を考え方を知る上で、企業のマネジメント層や人事部の方にもお勧めです。

104.近未来の仕事を考える本(2)『10年後に食える仕事、食えない仕事』

今回は、渡邉正裕さんの著書『10年後に食える仕事、食えない仕事』(2020年、東洋経済)をご紹介します。本書は、あらゆる仕事を、近い将来、減る仕事(食えない仕事)と減らない仕事(食える仕事)に分類し、わかりやすく解説しています。

まず、「機械が強く、技能集約的な仕事」は、ロボットやITに置き換わるリスクが高い、「ロボティクス失業」の領域です。次に、「知識集約的でも、機械が強い仕事」には、ホワイトカラーの事務作業や士業の業務の多くが含まれます。これは「AI・ブロックチェーン失業」の領域です。

一方、残る仕事は、「人間が強い仕事」です。技能集約的な仕事でも「人の手先の器用さが活かせる仕事」や「職人的なスキルが必要な仕事」は残っていきます。多くのホワイトカラーが目指すべきなのは、「知識集約的で、人が強い仕事」です。これはAIを使いこなし、創造力やコミュニケーション力などを発揮する領域です。

103.近未来の仕事を考える本(1)『2040年の未来予測』

新年に読みたい本をご紹介します。今回は、元日本マイクロソフト社長の成毛眞さんの著書『2040年の未来予測』(2021年、日経BP)です。成毛さんは、テクノロジー分野に詳しいオピニオンリーダーの1人です。

本書では「テクノロジーの進歩が未来を明るくする」として、無人レジ、自動運転、同時翻訳、オンライン教育、空飛ぶクルマなどの可能性について、わかりやすく説明しています。また、フードテック、シェアリングエコノミー、オンライン診療などの将来性についても言及しています。

結論として、一人ひとりの個人は、国家には期待しすぎず、「自分がどうやって生きるか」「どうすれば幸せな人生を送れるか」に、エネルギーを注ぐことが大切、とアドバイスしています。