151.2025年のキャリア10大トピックス(1)生成AI、リスキリングなど

2025年もあと2回を残すだけとなりました。恒例の10大トピックスの前半です。今回は、生成AIの活用、リスキリングの本格拡大、副業・兼業の一般化、30~50代の転職急増、ジョブ型雇用の拡大の5点です。

生成AIは日常業務の中で、誰にでも使えるものになってきました。ホワイトカラーの仕事の進め方を大きく変化させています。大学生のレポートも、見た目は上手になってきました。AIを活用できる人材しか生き残れない時代の入り口にいる印象です。

リスキリングについては、経済産業省が社会人リカレント学習人口を400万人規模にする方針を発表しました。私が所属する社会人研修会社へのお声がけも増えています。

150.高校生と親のための進路選択(2)英語力と異文化受容力

もし文系に進む場合は、英語力が無いと、面白い仕事はできないかもしれません。日本では人口減少により国内市場が縮小していくため、世界で戦える企業しか成長できないからです。例外は、IT系、医療系、観光業くらいでしょうか。

高校生には、まず大学受験の単語と文法は大事だよ、と話します。単語の暗記は退屈ですが、これを避けると英語ができるようにはならないからです。大学生になったら、TOEICを受けましょう。まずは多くの大手企業の足切り点と言われる600点が目標です。

英語と合わせて、異文化受容力も大切です。人種、宗教、嗜好など異なる価値観の人を受け入れて、仲間として協力し合える力です。そのためには、高校生の頃から、できるだけ多くの友達と関わる気持ちを持ちましょう。

149.高校生と親のための進路選択(1)理系?文系?

高校1年生の正月明けに、文系か理系かの進路選択をする学校が多いと思います。私は高校生向けのキャリア授業を行うNPO「16歳の仕事塾」に所属し、年数回、社会人講師として授業をしています。今回は、その授業からの抜粋です。

私の意見は、「迷ったら理系」です。これからの時代は、論理的思考など理系的な素養が必要です。特にSTEM(科学、技術、工学、数学)人材は圧倒的に不足しています。一方、文系ホワイトカラーの仕事は、一部の例外を除き、大幅に減っていきます。私自身もそうですが、理系から文系に変わるのは容易ですが、逆は難しいです。

大学より、専門学校や高専で、技術やスキルを身につける方が、職業的ニーズはあるかもしれません。看護・医療系、電気工事技師や配管工などの職人系は将来性が高いです。米国では、「ブルーカラー・ビリオネア」(高額所得職人)という言葉もできています。

148.ミドル・シニアのキャリアデザイン(4) 転機に対処するには

弊著『40歳からの実践的キャリアデザイン』からの抜粋の4回目です。今回は、中高年が転機に対処するための方法論をお伝えします。著名なキャリア研究者であるナンシー・シュロスバーグは、「人生は転機の連続」ととらえ、転機を乗り越えるための4つのSを提唱しました。

4Sとは、状況(Situation)、自己(Self)、支援(Support)、戦略(Strategies)です。転機に際しては、まず状況を客観的に把握し、自己の強み・価値観などを理解し、家族や友人の支援を受けることで心理的安定を保ち、転機に対処する戦略を練る、という意味です。この4Sは、ミドル・シニアのキャリア再設計にはとても有効です。

147.ミドル・シニアのキャリアデザイン(3) キャリア再構築の心構え

今回は、中高年のキャリアを再構築するための精神的基盤(メンタルファウンデーション)とモチベーションについてお話します。まず、健康、家族、経済の3Kが大切です。次に、自己効力感を高める必要があります。

自己効力感とは、「自分はできる」という信念で、挑戦意欲、行動力の源泉です。中高年になると、役職喪失、技術変化、健康不安などにより自己効力感が低下しやすいため、意識的な維持が重要です。また、ブルームの期待理論に基づき、外的報酬よりも自分の内的報酬を確認することが、この時期のキャリアデザインでは核になります。

146.ミドル・シニアのキャリアデザイン(2) エンプロイアビリティを高めるには

雇用される力をエンプロイアビリティと呼びます。中高年になり、若い頃に獲得したスキルが陳腐化すると、エンプロイアビリティが低下していきます。時代にあったスキルを意識的に身につけないと、「社外でも通用する力=市場価値」は維持できません。

そのためにはまず、キャリアアンカー(キャリアの軸)を再設計し、組織に依存するのではない人生観、すなわち「キャリア自律」の基盤をつくる必要があります。また、専門性の再定義、リスキリング(学び直し)、社外ネットワークの構築、パラレルキャリア(副業、地域活動など)の実践、学び続ける姿勢、の5点が大切です。

145.ミドル・シニアのキャリアデザイン(1) 中年の危機を乗り越えるには

今月は弊著『40歳からの実践的キャリアデザイン』(中央経済社)からの抜粋をお話します。著名な心理学者のユングは、40-45歳を「人生の正午」と捉え、その頃に「中年の危機」が訪れると警鐘を鳴らしました。仕事の悩み、体力低下、家庭の変化などが起こりがちで、「自分の人生はこのままでよいのだろうか」と落ち込む人が多いのです。

中年の危機を乗り越えるには、「自分らしさとは何か」を考え、社会的地位・収入などの外的キャリアよりも、充実感や満足感などの内的キャリアを追求する必要があります。自分は人生の午後(後半)に「どうありたいか」「どう生きていきたいか」を考え、真の自己を確立することが重要なのです。

144.採用のトレンド(5)アスリート採用

最近は、大学の体育会などでスポーツをやっている「アスリート学生」を対象にした就職支援サービスが増えています。アスリート学生は、対人マナー、成長意欲、粘り強さ、チームワークなどが鍛えられているため、採用したい企業は多数あります。

一方、体育会学生は、練習や試合に忙しく、就職活動にあまり時間をかけられません。面倒な就活は、4年秋に部活が終わってから考えればいいやと、後回しにする学生も大勢います。

アスナビ、スポナビなどの就活エージェントは、学生が就活と競技を両立できるよう、効率的な就活を支援しています。また、スポーツ庁ではアスリート向けのキャリア支援の専門家を育成しています

143.採用のトレンド(4)スカウト型採用

企業側から採用したい人に直接アプローチする方法をスカウト型(オファー型)とよびます。サイト上に自分のプロフィールとやりたい仕事を書いておくと、企業から「ウチの説明会に来ませんか?」とメールがくる仕組みです。

元々は専門的な経験がある中途採用が対象でしたが、最近は新卒学生にも普及してきました。自分の価値を見つけてもらえる、知らない業界・企業と出会える、選考スピードが早い、といったメリットがあります。ただし、自分がやりたいことが明確でないと、どの企業からも声がかからない、興味の低い会社ばかりから連絡がくる、ということも起こります。

142.採用のトレンド(3)アルムナイ採用

今回は「アルムナイ採用」、自社を一度退職した人(卒業生=アルムナイ)を採用する手法です。アルムナイ採用は、コンサルティング会社や一部のIT企業などでは、以前から一般的でした。私自身も、一度やめたコンサル会社に再び入った経験があります。

個人は、転職のとき、円満退社することで、その会社に戻れる可能性を残しておけます。また、元上司や同僚と良い関係を維持することは、将来の転職における「レファレンスチェック(推薦者コメント)」をもらうためにも重要です。各企業で、上司、同僚、部下のそれぞれのレベルで親しい人を1-2名もっておくことが、自らの「変身資産」になります。